日本でよく食べられているウニは、 主に「ムラサキウニ」と「バフンウニ」の2種類です。 ムラサキウニは、刺(トゲ)が長く、濃い黒色のウニ。 市場に出回っている8割以上がこのムラサキウニです。 一方のバフンウニは、刺は短く、やや平たい形状で、褐色がかったウニ。 流通量は全体の約1割ほどと、少なめです。 特に、今回ご用意した北海道産の「エゾバフンウニ」は、 国内産のウニの中でも最高級といわれています。
産地は、北海道釧路町にある昆布森地区。 この地区で獲れるエゾバフンウニは、 深い甘みと身の締まりの良さが特長で、 国内でも最高ランクの評価を得ている逸品です。 ではなぜ、この昆布森地区で最高のウニが育つのか? それは、このウニの「食生活」にあります。 昆布森地区の海では良質のコンブ、 国内でも一、二を争うぐらいのおいしいコンブが豊富に育ちます。 地区の沿岸約40キロのほとんどはコンブの漁場で、 その名の通り「昆布の森」が広がっています。 基本的には、ウニは雑食。 ところが、この地区のウニは良質なコンブを主食として食べ続けることで、 雑味のない、上質な味わいのウニに成長していきます。 「うまいコンブの中に、うまいウニが育つ」というわけです。
こうして高い評価を得て、 今では国内最高級のブランドとして知られるようになった「昆布森のウニ」ですが、 唯一の難点を挙げるとすれば、「手に入りにくいこと」でしょうか(笑)。 もともとの漁業は、「昆布森」というぐらいですから、コンブ漁が本業なわけです。 ウニ漁は、いわば「片手間」で、それだけ漁獲量が少ない。 漁期は、10月後半から12月後半にかけての約2ヵ月間に限定。 しかも、人が潜って獲る漁のため、波が高い日は中止になります。 したがって、実際に漁が行われている日数は2ヵ月の間でも20日ほど。 ますます限られた漁獲量になるわけで、 この時期は、昆布森漁協に注文を出す側の仲買人や仕入れ担当の間で 熾烈な争奪戦が繰り広げられます(笑)。 出荷があるか、ないか。電話での問合せを、毎日します。 ダメもとで毎日毎日、60日間注文したとして、 在庫にありつける日が10日もあれば大成功。 毎日電話して、「今日もありません」「明日も駄目です」というのが当たり前の光景になっています。
しかし、それでも「待つ価値」のあるウニなのです。 身は、鮮やかなオレンジ色。 粒は大きく、味は濃厚。 渇き具合も最高で、身が溶けて崩れることもない。 圧倒的なおいしさが、口の中に広がります。 一般に流通しているウニとは桁違いの、最高級ウニ。 ぜひ、「待つ時間」も含めてお楽しみいただければと思います。